Sunday, January 5, 2014

レンガ型組織と石垣型組織

SONYとマッキンゼーとDeNAとシリコンバレーで学んだ グローバル・リーダーの流儀」の中でアメリカと日本の組織に対する考え方が以下の様に対比されています。海外の会社と仕事する際、あるいは多国籍な人の組織でマネジメントをする場合、こういう組織に対する考え方の違いに気を配らないと、何かと問題が起きるよと指摘されております。手元に書籍があれば「レンガ堀と石垣」の節を参照してください。

  • アメリカ=レンガ型組織。枠組みを作ってから人を当てはめる。
  • 日本=石垣型組織。まず人ありきで、それぞれの能力や必要に応じて人を割り振る。

アメリカ企業の場合、まず事業戦略に応じて先に「ポジション」が決められ、そこに人があてがわれます。

  1. 北米市場で○○をやっていきたい
  2. それをやるためには、こういう経歴とスキルをもったプロダクトマネジャーを雇用する必要がある(ここでジョブ・ディスクリプションが用意される)
  3. エージェントを通じて採用広告が出される。

今の勤務先にもこのレンガ型組織のピラミッド構造の図を見たことがあります。全員の役割は明確に決められており、その役割こなすためにその人を採用したので、その人はジョブ・ディスクリプションに書かれたことしかやりません。

日本企業の場合、まず人があてがわれて、その後に状況に応じてその人の役割が決められていきます。書籍で書かれているのは以下のような人事案件。

  1. ある海外事業部に欧州担当のA部長、中近東・アフリカ・アジア担当のBさん、南北アメリカのCさんがいる
  2. Bさんの部下のDさんが成長してきた。彼にそろそろ大きな役をつけよう。
  3. 中国市場が大きくなってきたので、中国をアジア事業から切り離し、Dさんを中国担当課長にしよう

まずこの人をこれくらいのポジションに割り当てようという意識があって、その機会があったらその人を昇格させようという話です。私もそういう人の待遇が先にあって、人事とか組織が決まる話は何度か決まる話はあります。

著者によると、アメリカの方は昔の騎士の契約社会の考え方が受け継がれているのではと指摘しています(ヨーロッパの契約の考え方がアメリカにも受け継がれたという意味)。つまりは騎士はその都度、雇用契約を結んだ領主に使えますが、あくまで雇用契約であって、契約を破棄した場合は違う領主に仕えることは全然ありです。アメリカの場合、雇用市場が流動的で、常に人材が雇用市場に流れている(つまりは定期的に人がレイオフされている)ので、必要に応じて外から取ってくることが比較的用意である点もこの考え方を支えているのではと思います。

日本の石垣型組織の方は、日本の封建制度が影響を与えているのではと指摘しています。つまり、一度、領主に使えたら代々その領主のために尽くすというスタイルです。雇用市場が流動的ではないので、何か事業をやる際にはまず社内の人を活かす必要があるので、まず社内の人をどう活用するかという発想になるので、人ありきになるのでは?

で、両者の比較ですが、レンガ型組織の方が責任が明確で想定している範囲では意思決定が早くなる傾向がありますが、想定外の事態に対してはポテンヒット(担当者が誰もいない)が起こりうるようです。

石垣型組織の場合、想定外のことであっても自然発生的に誰かが埋め合わせてくれる柔軟性がありながら、責任範囲が曖昧で意思決定が遅いとのこと。

ただし、どちらの組織が優れているとは一概にはいえない気がします。事業の方向性がはっきり決まっている場合、アメリカ型組織の方が効率が良いように思います。一方で、渋谷の社長が指摘している通り、事業転換を素早く切り替える必要がある状況の場合、まずは良い人を揃えてからどこに向かうかを決める方が良いという指摘もあります(「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則 」にも同様の指摘があるとのこと)。

えっと、だらだらと書いてしまいましたが、結局何がいいたいかというと、日本の人に何かお願いするとわりと柔軟にやってくれたりしますが、アメリカの人にお願いする場合はこの組織のピラミット構造(レポートライン)を意識して適切な人にお願いしないと、それは私の仕事じゃないと取り合ってもらえないこともあるので気をつけてねということです。

(私の勤務先は、わりと柔軟に対応してくれる人が多いので一概にアメリカはどーとかいえないんですが)

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